「DTPエキスパート」カリキュラム第8版 発表!

日本印刷技術協会(JAGAT)主催の「DTPエキスパート認証試験」の新カリキュラムが発表になっています。第7版からの変更点を見るとDTP業界の新技術や何がお金になるのかということがよくわかります。
新傾向と思われる項目を洗い出してみました。

  • 〈校正支援ツール〉出版社などの表記ルールに文章を統一するために文章校正や校閲処理が行われますが、そのような校正作業を手助けするためのツールには日本語変換の専用辞書などがあります。
  • 知的財産権〉〈個人情報保護法〉〈ソフトウェア使用承諾契約書〉〈インターネットにおける著作権〉デジタルデータは簡単に完全な複製を作り出すことができることが大きな特徴ですが、著作権を侵してしまったり、コピーソフトが使用されていたり、個人情報が本来の目的と違った使われ方をしてしまったりとデジタルデータの扱いにはきちんとした法律の理解が必要になります。
  • 〈印刷料金の見積もり(積算)〉印刷料金には、企画・デザイン料・DTP料金・出力料金・刷版料・製本加工料や用紙代、諸経費が含まれています。
  • 〈色の見え方〉照明光の分光特性や用紙による発色の違い、プルキンエ現象、メタメリズムなどさまざまな環境の違いによって色の見え方が変わってきます。
  • デジタルカメラ〉印刷物に使用される画像の7〜8割がデジタルカメラで撮影されるようになってきたといいます。Exif情報の扱いやRAWデータの取り扱いなどの知識がないと思わぬトラブルを招くことになります。
  • フォトレタッチ〉Labモードでレタッチを行う場合には、16bitモードに変換して色補正を行わないとトーンジャンプが発生します。
  • デジタル印刷機〉ターゲットの性別や年齢、購買履歴などを分析してターゲットに合わせた高付加価値の印刷物をデータベースなどと連動して効率的に販促を行っていくことが今後の広告印刷物に求められます。デジタル印刷機の市場ではインクジェット方式の印刷機が注目されています。
  • 〈環境問題への対応〉環境問題への意識が高まり、印刷業界でもさまざまな環境への配慮が行われています。
  • 〈サーバ認証〉〈SSLDTP業界では蓄積したデジタルデータを効率的に活用できるようにサーバを導入して作業の自動化が計られていたり、ネット入稿を導入したりしています。安全なサーバ運用を行うためにサーバ認証やSSLの知識が必要とされています。
  • InDesignの自動組み版処理〉InDesignではさまざまな自動化のためのコマンドが用意されています。XML、データ結合や先頭文字スタイルなどの機能やJavaScriptAppleScriptなどを利用することで自動組み版が実現できます。

DTPが普及することで、デザイナーはMacと周辺機器を揃えれば1人でも印刷データを作成することができるようになりましたが、文章やデジカメデータなどを適切に処理する知識も求められるようになりました。
以前はデザイナーはよいデザインを考えていればよかったのでが、Webへの展開や加工したデジタルデータがより効率的に運用できるようワークフローを設計していくトータルのスキルが求められています。今後はWebのようにデザインと作業(レタッチ作業やオペレーションなど)の専門技術の棲み分けが進んでいくのかもしれませんね。
いずれにせよ、新しい印刷技術やアプリケーションやITについていかないと食べていけなくなるわけですから、日々勉強していくことになりそうです。